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外国産カブト・クワガタがスーパーに増えた理由と種の起源とYシャツと私

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11月24日、1859年にはチャールズ・ダーウィン著作『種の起源』の出版、1999年の今日は日本で外国産カブトムシ・クワガタムシ44種の輸入が解禁された日です。

 

ちなみにYシャツと私は関係ないです。

 

昔の漫画に、夏休みの昆虫採集の宿題に明らかに外国産のカブトムシの標本を自慢げに出そうとしてばれて怒られる、なんていうのがありましたが、いつの間にかペットショップやスーパーの一角でリアルムシキングを見かけるようになりましたよね。

 

何故解禁に?

まず昆虫類の輸入には農林水産省植物防疫所の許可が必要です。

我が国では、日本の農業生産に甚大な被害を与えるおそれのある病害虫の外国からの侵入を防止するため、植物防疫法(昭和25年法律第151号)第7条により下記のとおり輸入禁止品を規定し、「何人も輸入禁止品を輸入してはならない。」旨を定めています。

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引用元:http://www.maff.go.jp/pps/j/law/daijinkyoka/

 

この申請には必要な書類も多く、なかなか大変そうですね…

 

それらをクリアして、こちらのサイトの方が申請した結果、44種が解禁となったようです。

http://www.asahi-net.or.jp/~id8k-sgn/kuwabaka1999kaikin/index.html

この方が申請した分に加え、これ以前に特別に許可されたことのある種や業者から輸入申請が上がっていた分を合わせての45種が審査されました。

そして今では有名なヘラクレスオオカブトムシ、コーカサスオオカブトムシ、ミヤマヒラタクワガタなども、この時に解禁されたのです。

 

Dynastes
By Furry yui投稿者自身による作品, パブリック・ドメイン, Link
ヘラクレスオオカブトムシ

 

Lucanus70.JPG
By keusju – keusju, パブリック・ドメイン, Link
ミヤマヒラタクワガタ

 

輸入許可は、農作物への影響がある「害虫」となる昆虫には下りません。

この時「ヒメカブト」という種が唯一解禁とならなかったのは、

成虫がサトウキビの茎の内部にトンネルを掘って潜み、その中で吸汁・摂食を行うため、サトウキビの重要な害虫であるという説もある。

というように害虫となり得る種の輸入は基本的に認められないからです。

 

防疫所の許可の他にも外来生物法 https://www.env.go.jp/nature/intro/3breed/kogane.html に則る必要もあるため、外国産の生き物の輸入には厳しい制限がかけられていることが分かります。

 

 

解禁した場合の環境への影響は?

そのような厳しい制限がかかっている理由はもちろん、国内の固有種の保存に関わるからです。

1859年の今日、出版された『種の起源』では自然選択説が唱えられています。

自然界ではその環境により適応した形質を獲得した生物こそがより生存の可能性が高まります。さらにその形質が次世代の数(=繁殖力)に繋がるものであれば、その種の中で生存競争という篩いにかけられた結果、生存と繁殖に有利な個体の子孫が生き残っていくことになります。

しかしここに外来種の侵入を許し、それがより繁殖力の強い種であれば、自然選択を無視して国内産の種を淘汰してしまうことが大いに考えられるのです。

 

例を挙げると、ルアー釣りのために放流されたブラックバスやブルーギルなどの繁殖力と生命力の強い種が在来種を捕食し、繁殖していくことによって、元の生態系を塗り替えてしまうという問題が有名でしょう。

 

日本産でもこのように強い種もいますが、強い外国産に勝てるものは少ないのでしょうね。